小松塗装工業

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塗り替え時期と経過年数について

外壁に塗装された「塗膜」の寿命を左右するのは、「時間の経過」と「周辺の環境」です。塗膜も、時間が経てば、人間が年齢を重ねるように弱ってきますし、また気候の穏やかな所と風雨にさらされ続ける所とでは、塗膜の傷み方も変わってきます。
 「時間の経過」の観点からご説明しますと、一般的な外壁の塗り替えサイクルは10年~13年と言われています。もちろん、塗られている塗料の性質やグレードによっても異なってきますが、この程度のサイクルで塗り替えると、予算的・工期的に無理なく、最も経済的な建物の保持が出来る、という考え方です。
 (下図参照)

ひび割れ

コンクリートの収縮や建物全体の挙動から、建物の壁面には、 経時的にひび割れが発生します。特に外壁のひび割れについて は、下地コンクリート内への雨水の浸入を促し、内部の鉄筋を腐 食させる原因になりますので注意が必要です。

塗装の劣化

壁面に塗装された「塗膜」は新築時から外部環境にさらされることにより、さまざまな劣化が進行していきます。

①塗膜表面の色あせ・光沢低下
紫外線の影響などにより、塗膜が従来もっていた光沢が低下したり、 色が褪せたりします。当初保っていた建物全体の美観を損ねる要因 のひとつになります。



②塗膜表面のチョーキング(白亜化)
熱・水分・風等の作用により、塗膜の表面が分解され粉化し、表面をこする と写真のように白墨の粉のように付着する状態です。塗膜が分解さ れ弱っていますので、耐候性が衰え、建物の保護機能が低下してい ますので、塗りによる塗膜性能の復旧が必要になってまいります。


③塗膜のはがれ
表面のひび割れからの雨水の浸入などにより、下地との密着力が低下しますと、経時的に塗膜の剥離が生じることがあります。塗膜による保護機能が消失すると、むき出しになった箇所から躯体内部への雨水の浸入を促し、内壁面を腐食させる要因になります。

塗装の汚染

建物の美観を損なう「汚れ」は、空気中の塵埃による一般汚染と、カビ・藻類の発生による微生物汚染とに大きく分けられます。

①一般汚染
ひさしのない外壁面は雨水の影響を受けやすい部位で塵埃が雨 水によって流された「雨すじ」による汚染が見られることがあります。こうした現象は建物の形状や部位によって、不可避的に発生しますが、最近では汚染防止型の塗料で、こうした現象を緩和する工法が可能になっています。



②微生物汚染
微生物汚染とは、藻やカビ、ダニを原因とした外壁などの汚れのことを指します。これらの微生物が塗布された塗料の有機成分等を栄養源として繁殖することで発生します。
微生物汚染に強い光触媒塗料を塗布することで外壁は紫外線が当たった際に微生物を含む有機物を分解するため、汚染を防ぐ効果があります。 ます。


外壁の欠損

①鉄筋の露出を伴うもの
外壁面のひび割れや、塗膜の剥離箇所から浸入した雨水や空気中の炭酸ガスの影響により、コンクリート内部の鉄筋が腐食・膨張して、周囲のコンクリートを破壊した結果、写真のように従来内部にあった鉄筋 から水分が流出する劣化現象です。美観を損ね、さらに劣化を進行させるだけでなく、コンクリート塊の落下など、危険も伴いますので、本症状については比較的緊急の対応が必要になります。

②エフロエッセンスの流出
外壁面のひび割れ等から、下写真のように白色のしみが躯体からにじんでいる状態が見られることがあります。コンクリートの成分が 外部に水分と共に貫通したひび割れを通ってコンクリート表面に水分の逸散や空気中の炭酸ガスとの反応によって析出したものです。



②欠損
部位は、「塗膜の剥離」箇所と同様に建物のコンクリート下地がむき 出しになっていますので、雨水の浸入の影響を受けやすく、完全に補修を施す必要があります。


鉄部の劣化

建物の挙動を吸収させたり、防水性を高めたりする目的で、躯体目地や建具廻りに伸縮性に富むシーリング材が打設されています。新築時には柔軟性のあったシーリング材も時間が経つにつれ、固化や風化が進行し、本来もっていた耐緩衝性能や防水性能が低下します。こうした状況を放置しますと、建物内部へ水の浸入等の事故につながります。
     

鉄製の部材は、主に雨の当たる箇所や水切れの悪い支柱柱脚部等を中心として錆の発生がみられることがあります。これらの対策としては、その程度に応じた工具により、発生している錆を完全に落し、その上で錆止め塗装→仕上げ塗装の工程が必要になります。発生している錆の程度が著しく、腐食や穴空きなど、基材の強度そのものに影響を及ぼす場合には、撤去→溶接などの工法も採用しなければならないケースもあります。